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下田を拠点に世界を飛び回るデジタルノマド~ELENTO合同会社代表 塚田エレナさんに聞く下田の魅力!

最近、よく聞くようになった言葉に『デジタルノマド』があります。
IT技術を活用し、ノートPCを携えて国内外、場所に縛られず『ノマド(遊牧民)』のように旅をしながら仕事をする人達のことで、すっかりお馴染みになった『ワーケーション』と近いようにも感じます。
でも、ワーケーションがワーク(仕事)とバケーション(休暇)を合体させるという時間の過ごし方であるのに対し、デジタルノマドはライフスタイル、つまりは生き方ともいえ、そこが大きな違いといえるようです。
現在、デジタルノマドは世界に3,500万人いるといわれていて(2022年)、その多さに驚いてしまいますが、10年後には10億人に増えるとの予測もあります。
そんな状況からデジタルノマド受け入れのためのビザを発給する国や地域も多くなっていて、日本でも2023年6月、デジタルノマドの呼び込みに向けた在留資格 / ビザの制度化の方針が示されました。
今回は、デジタルノマドとして各国を渡り歩いた末、縁あってたどり着いた下田に拠点を置き、この地で起業し、そして今年(2023年)には移住までされた塚田エレナさんに、デジタルノマドになった経緯から、各国を渡り歩いた塚田さんから見る下田の魅力、下田を拠点をする理由、また、下田とデジタルノマドのこれからについて聞きました。

塚田さんは市主催のプロジェクトチームにも参加していて、
デジタルノマド誘致のイベントの企画などを提案してくださいました。

今日はお忙しいところありがとうございます。
塚田さんのように世界を渡り歩く方が下田を拠点としているのは、とても興味深いです。
そのあたりの経緯など伺えたらと思っております。
まずは、出身地や経歴と、デジタルノマドになるまで、そして、下田と関係を持つ経緯などをお聞かせください。

出身は横浜です。
土地柄、子どもの頃からいろんな国籍の友人がいたのですが、そうした友人に対してさまざまな意見があることに違和感を感じるようになり、大学では政治や移民について勉強しました。
そして、卒業後に一年間、アメリカのミズーリ州に留学して、戻って来てから一年間は当時はまってた劇団のファンクラブの活動をしてたんです。
その活動の中でデジタルマーケティングの重要さを実感して、業界の会社に就職してGoogle広告、SNS広告の運用の経験をつみました。
そして、その後にPR(パブリックリレーションズ)の世界に入りました。
もともと子どもの頃からナチスドイツがなぜあんなに力をもってしまったのか?とか考えちゃうようなタイプで…PRによって戦争さえ起こさせてしまう、良くも悪くも力があるということですよね。
起こすことが出来るのなら止めることもできるかもしれない…そんなPRの力に興味があり、外資のPR会社で3年、みっちり働きました。
このデジタルマーケティングとPRの実務経験は共に東京のど真ん中での仕事で、忙しくて大変でしたが、でも経験したからこそ今があるという気もします。
あと、外資だったので会議は英語だったので、英語のスキルもあがりました。
PRの業界でデジタルマーケティングを経験している人が少ないということもあって、結構重宝された感じはあります。

今、下田では西本郷の『 with a tree』に会社をおき、様々な活動をされています。(『with a tree』は、シェアオフィス、モノづくりの拠点、イベントスペースなどの複合施設。)

なるほど、ここで今の業務を支えるスキルを身に着けたのですね。
今のところは『ノマド』ではないようですが、どんなキッカケで『ノマド』になっていったのでしょうか?

3年働いた後、その頃20代が終わる頃だったんですけど、周りの人からワーキングホリデーに行きなよ!今しか行けないんだから…!って言われて、確かに…と考え始めたんです。
それで海外でも働けないかな~?って門戸を開いたら、運良く自分のスキルで取り組めるお仕事を頂いて!
それを携えてドイツに行って、ドイツを中心にヨーロッパを巡りながら仕事をしてました。
という感じで『ノマド』な暮らしがはじまったのです。
2019年夏のことでした。

ワーキング・ホリデーとは、二国・地域間の取決め等に基づき、各々が、相手国・地域の青少年に対し、休暇目的の入国及び滞在期間中における旅行・滞在資金を補うための付随的な就労を認める制度です。

グローバル!

なるほど~そんな風に『ノマド』暮らしがはじまるのですね。
コロナ禍で海外を巡るというのはなかなか難しいでしょうが、どうされたのでしょう?

そうですね。
業界的には珍しくはなかったですが、完全テレワークOKというのは、結構先進的な会社だったのかもしれません。
でも、ドイツにいて、コロナがすごいことになってきて…あ、今帰らないと日本に帰れなくなる!というタイミングがあって…そこで日本に帰ってきました。
そして、日本に戻って来てから、すこしコロナの状況が落ち着いたころにドイツで知り合った人が下田でイベントをやるから行かない?と誘われたのです。
2020年の秋ごろでした。
そこではじめて下田に来たのですが、出会う人出会う人が面白くて、素敵で、そして、温かくて。
例えば、これまでいろんな土地に行ってたけど、地域の人との関わりがこんなに楽しい、地域の人がこんなに暖かいって感じたのもはじめてだったんですよ。
それで、もっとこのまちを知りたいな、このまちと関わりたいなと思って、毎月のように来るようになり、だんだんとくるペースも多くなりました。

下田にはじめて来るキッカケとなったのも『with a tree』でのイベントだったそうです。
良き場との出会いって、本当に大切ですね。
塚田さんは下田でのさまざまなイベントに参加されています。
こちらは『寿司にぎり』を体験されている時の様子。これはなかなかできない体験ですね。

そのうちに、自分たちが楽しむだけじゃもったいない!もっと下田の良さを知ってほしい!となって、いろんな人を呼ぶようになってきました。
その集大成といえるのが、2022年にやった「しもズブWEEK」というイベントです。
全国から下田ファンを、下田を好きになってくれそうな人を60人くらい呼んで、開催しました。
来てくれた人たちがみんな下田を楽しんでくれたのが嬉しかったです。

2022年のイベントの様子。

そして、下田を拠点にあちこちに行くという『デジタルノマド』が始まったのですね。
でも、拠点とするには地域の人間からしても不便なのでは?と感じてしまうのですが…、それでも下田を拠点にしたのはどんな思いからなのでしょうか?

なんといっても『おかえり~』って迎えてくれる人たちがいてくれたのが、大きいと思います。
友人だけでなくて、お店にいっても『あ、戻ってきたんだね~』って、迎え入れてくれて、本当にほかの地域にはない暖かさを毎度、感じています。
今は、下田を拠点に、ひと月に他の地域、3,4か所に行く状況です。
今年になって、コロナの状況もやっと落ち着いてきたので、海外へ行くことも増えてきました。
そして、下田を拠点に…といっても当初はワーケーション施設に滞在していたのですが、今年(2023年)6月に家を借りて、8月には住民票も移しちゃいました!
会社も下田で登記しているので、まさに下田がベースです!

下田に集う仲間たちと。

なんと…住民票も法人登記も下田にしていただいているのですね!
こうしてまちが賑やかになっていくのはとても嬉しいです。
では、『デジタルノマド』というライフスタイルについて伺っていいでしょうか?
ノートPCを携えてあちこちに行って仕事をする、ということですが、その行き先に何か業務上の目的があるわけではないのですか?
でも、そう感じる方も多いのでは?とも感じて質問させていただきます。

全然、そういう感じではなくて、『デジタルノマド』のコミュニティがあって、今、あっちに行くとあの人いるんだ~行っちゃえ!みたいな感じです。
『デジタルノマド』のイベントも世界中で開催されているので、それに参加したりもします。

ブルガリアで開催されたデジタルノマドのイベント『Nomad Fest』!

で、そんなイベントを日本でもやりたい!ということで、福岡だったり長崎で開催されたデジタルノマドのイベントには運営側で関わっていました。

福岡で開催されたデジタルノマドサミットには、オンライン・国内外合わせて100名ほどが参加。

なるほど…そういう感じなのですね。
行っちゃえ!で行く先が海外というのがちょっと…いや、かなり違いますが、要するに、スナックカルチャーが浸透している下田のおじさんに例えると、今日は行きつけのこっちのスナック、明日は飲み友達が行きつけのあっちのスナック…という感じでしょうか?
すいません、発想が半径500メートルな距離感で…💦

だいたいそんな感じかと!!(笑)私も下田のスナック大好きです!
そして、今考えているのは、そんなデジタルノマド達を下田に呼び込みたい!ということです。
海外のデジタルノマドの人たちに日本がすごい人気なんですよ。
デジタルノマドのコミュニティサイトでも、行きたい都市ランキングで東京が一位だったりもしますし。
下田は、もともと海外の方たちに人気があって、多く来られているので、受け入れる素地はあるなと思います。
東京の人には下田って遠い…と言われたりしますが、海外のデジタルノマドにとってみると、東京と下田って同じエリアという感じなんですよ。

こちらは「ColiveFukuoka」でのデジタルノマドイベントの様子。
下田はリゾートあり、和文化もあり、海外の方に受ける要素がそろってますね。

なるほど!グローバルに動いてる人にしてみたら同じエリアなんですね。
確かに、最近は特に海外の方が多く来られています。
デジタルノマドを迎え入れるにあたって…地元側の心得?みたいのありますか?

デジタルノマドの人たちって、観光しに来ているわけではなくて、あくまで日常の延長なんです。
気に入ったら一ヶ月とか滞在しますし。
なので、滞在する地域との関わりも大切に考えています。
様々な国、地域の人がいるので皆さん、本当に多様性を大事にしていて。
そんな価値観だということを知っていてもらえたら嬉しいです。
そうしたデジタルノマドと地域とがお互いのことをわかりあえる場があると滞在しやすい場になっていくので、下田でそんな場づくりをしたいと思っています。
国としても、デジタルノマドを受け入れていこう!という流れになってるので、その流れにも乗って、来年(2024年)は下田でデジタルノマドを呼び込むイベントをやりたいです。
その時にはどうぞよろしくお願いいたします!

こちらは市主催のイベントに登壇していただいた時の様子。
デジタルノマドが下田にあふれる日も…遠くない!?

地域の魅力ってなんでしょうか?
素晴らしい景色や食、アクティビティ…などもそうですが、やっぱり最終的には『人』なのかな?と感じるインタビューとなりました。
塚田さんは、デジタルノマドとしてグローバルに活動する一方で、下田を拠点として、下田にデジタルノマドを誘致する企画をされています。
円安もあってなかなか海外に行きづらい時代となってしまいましたが、この地域に居ながら様々な国、人種、民族の方との出会いがあるというのは、とても貴重な体験となるようにも感じます。
これからも塚田さんの動きから目が離せません!

市内で開催されたワーケーションユーザー、デジタルノマドのイベント。
盛り上がってます!